『申脈』は外くるぶしの下にあり、解剖学的にみても「足腰に効きそう」と想像できるツボですが、精神的な不調にも使える凄いツボなので、ぜひ覚えておいてもらいたいツボの一つです。
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古来より「申」は「神」に通じるといわれていました。
「神」という字のつくりは「申」ですし、音もおなじ(シン)。
さらに字の成り立ちから見ると、
「神が発する稲光がジクザグと斜めにのびる姿」から「申」という字ができ、
申=神、申=のびるという意味をもったそうです。
このことから
精神安定作用があって、足腰に効く場所にあるツボを『申脈』と名付けたのではないでしょうか。
古代中国人の考えは深く、面白いですね。
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じつはこの『申脈』、私は鍼灸学生時代にとてもお世話になったツボです
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夢と希望に満ち溢れ入学した、全日制の鍼灸学校
47歳というゆらぎ易い年齢で入学した私にはだいぶハードでした
在学中の数々の不調、更年期、五十肩、頭痛、腰痛、不眠などどんな症状でも、
殆どこのツボを使って治療をしてもらっていました。
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これは、東洋医学の「隨証治療(ずいしょうちりょう)」に基づく考え方で、
一人一人の「体質」「不調の状態」「心と身体の状態」を脈診、舌診、問診などで診断し、「証」を立て、その「証」に対して治療を行うという考えです。
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どんな症状でも、私の不調の原因は1つだったのですね。
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一般的に考えると頭痛が起きたとき、
「鎮痛剤」を用いて治しますね。これは西洋医学的な治療法として、おそらく万人共通の治療法でする。
東洋医学はその人の陰陽・虚実・表裏・気血水などの概念を用いて、判定をし「頭痛が起きた原因」を治療するのです
西洋医学は「病気を見る治療」
東洋医学は「人を見る治療」と言われる所以です
そのため、東洋医学では「同じ頭痛でも」治療法が異なることがあるのです。
なので、基本的に「〇〇に効くツボ」というのは実はないのですね~。
とても思い出深い『申脈』
ほとんどの人は触れると痛がりますね
捻挫をくり返した人や
腰痛の人はほぼ100%痛い
穴性には
◎清頭目…精神や目の働きをはっきりさせる
◎利腰腿…腰・大腿部の状態を良くする
と、書かれていて
腰痛・大腿の治療としても使いますが
不眠、めまい、後頭痛にもとても良く効きます
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スっと頭をクールにしたい時
使ってみてくださいね
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【申脈(しんみゃく)】
足の太陽膀胱経 BL62
八脈交会穴
陽蹻脈の主治穴
部位:足の外側、外果尖の直下、外果下線と踵骨の間の陥凹部 長腓骨筋腱の上線
筋肉: 長腓骨筋、短腓骨筋
筋枝: 浅腓骨神経
皮枝: 外側足背皮神経
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【参考文献】
『新版 経絡経穴概論』 編者:日本理療科教員連盟、公益社団法人東洋療法学校協会
著者:教科書執筆小委員会(医道の日本社)
『経穴主治症総覧』編著者:池田政一(医道の日本社)
『藤本蓮風 経穴解説』著者:藤本蓮風(メディカルユーコン)
『ツボ単』監修:形井秀一、高橋研一 著者:坂元大海、原島広至(エヌ・ティー・エス)
『カラー版経穴マップ』著者:王暁明(医歯薬出版)
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